令和元年度 市立横手 病院指標

頭痛・脳神経内科では、脳血管障害の急性期病変、特に脳梗塞で入院される患者さんが多くなっております。
アテローム血栓性脳梗塞の患者さんが15名となっており脳梗塞全体の約65％を占めております。
また、平均年齢は約77歳で昨年度より6歳上がっております。
入院後の保存的治療としては、脳梗塞の病型により抗血小板療法（ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞）や抗凝固療法（心原性脳塞栓症）を行います。
また、肝機能や腎機能に問題のない症例では、上記治療薬に加えて脳保護療法として活性酸素除去剤（ラジカット）を用いて活性酸素を低減し脳梗塞による虚血の被害を軽減する治療を行います。
糖尿病内分泌科では、糖尿病患者さんの血糖コントロール及び教育入院を行っております。
食事療法、運動療法、薬物療法を通じて良質な血糖コントロールを行い、糖尿病合併症のリスクを可能な限り下げる事を目標としております。
糖尿病以外の患者さん以外にも、誤嚥性肺炎や尿路感染症といった内科疾患の治療も行っております。

消化器内科疾患で多い症例は、大腸ポリープや胆管結石に対する内視鏡的治療対象疾患です。
胃癌に対する内視鏡的治療は、昨年度より23名増加しており、増加傾向にあります。
消化器疾患以外に誤嚥性肺炎が含まれておりますが、これは、この地域の高齢者が多い事と、当院には一般内科医、呼吸器内科医が常勤しておらず、消化器内科医がその業務を兼任する事が多い為です。

循環器科では、高齢社会を背景に、心不全の入院が増加しております。心不全の要因は、不整脈、弁膜症、虚血性心疾患が多くを占めております。
また、心臓カテーテル検査、ペースメーカー植え込み術も行っております。
近年は、睡眠時無呼吸症候群の診療に力を入れており、早期発見により高血圧や糖尿病、心不全、心筋梗塞、脳卒中などの合併症のリスクを減らすことを目指しております。
その他、肺炎や尿路感染症など頻度の高い内科疾患も担当しております。

小児科では、急性気管支炎やRSウイルスによる気管支炎が最も多くなっております。RSウイルスによる気管支炎で入院される患者さんの約27％の方は、中耳炎も併発しており切開を行っています。
昨年度、59名おりましたインフルエンザ、ウイルス性肺炎の患者さんは、令和元年度は29名となっており30名減少しております。
また、ノロウイルス、ロタウイルスを中心としたウイルス性腸炎やインフルエンザやRSウイルスによるウイルス性疾患は、嘔吐や下痢による脱水、咳嗽、発熱症状の程度が入院適応の判断材料となります。

外科の入院患者数では、鼠径ヘルニア、悪性腫瘍に対する治療が上位を占めております。それぞれの疾患でクリティカルパスを導入し、
患者さんには入院前から治療のおおよその流れが分かるように配慮しております。

整形外科では、昨年度同様股関節・大腿近位の骨折で入院される患者さんが一番多くなっております。
地域の高齢化に伴い、転倒による骨折が増加しており、平均年齢は、昨年度より約2歳上がっております。
転倒による代表的な骨折である大腿骨骨折と手首の骨折については、手術治療によりできるだけ早期に骨折部を安定させ、リハビリによる
社会復帰を目指しております。
また、椎間板ヘルニアについては症例に応じて椎間板摘出術や脊椎固定術等、様々な方法で症状を緩和させるよう治療を行っております。

産婦人科の特徴として、悪性腫瘍の術後化学療法を入退院を繰り返して行う為、患者数が多くなっております。
その他、良性疾患として子宮脱の手術症例、産科領域では新生児黄疸の光線療法の症例が多くなっております。

眼科では、白内障に対し1泊2日の日程で手術を行っており、平均年齢は76歳で昨年度より約2歳上がっております。
秋田県は高齢化が進んでおり、今後さらに加齢に伴う白内障や緑内障、加齢黄斑変性などの眼科疾病の増加が予想されます。患者さんのQOV（Quality Of Vision）のさらなる向上を目指しております。

泌尿器科では、膀胱癌で手術を受けられる患者さんと前立腺癌の疑いで検査入院する患者さんが多くなっております。
膀胱癌に対する手術は、主に内視鏡的手術である経尿道的膀胱腫瘍切除術を行っており、当院の平均在院日数は全国の病院の平均在院日数より約2日短くなっております。
また、前立腺癌の疑いで検査入院される患者さんは、1泊2日で退院されております。

消化器科では、大腸にできた腫瘍性病変を内視鏡を用いて摘出する手術が一番多くなっております。
同様に早期の胃癌に対しても内視鏡的手術を数多く行っております。
患者さんが受ける身体的負担が少ない内視鏡的手術は、年々増加しております。
また、胆石や腫瘍などで閉塞性黄疸を発症した患者さんに対しては、内視鏡を用いて閉塞している部位を拡張する治療を行っております。

循環器科では、洞不全症候群、房室ブロック、ペースメーカの電池消耗の患者さんに対しペースメーカ移植術、ペースメーカ交換術等を行っております。
また、嚥下障害による誤嚥性肺炎で入院される患者さんの治療も行っている為、胃瘻造設術を施行される患者さんもいます。

外科では、鼠径ヘルニア、胃・大腸における良性、悪性疾患、胆嚢良性疾患、虫垂炎に対し腹腔鏡手術を行っておりますが、高度進行癌や高度炎症例では開腹手術となることがあります。
術後の回復が早く、早期の退院が可能となる腹腔鏡手術は外科的手術全体の約45％を占めております。

整形外科で手術件数の最も多い手術は、人工関節置換術で、主な対象疾患は、原発性股関節症と原発性膝関節症で、
原発性股関節症27名、原発性膝関節症22名で全体の89％を占めております。
次に手術件数の多い手術は、骨折観血的手術（大腿）、骨折観血的手術（前腕）の順になっております。
平均年齢は大腿部が82歳で、前腕部が61歳となっており、前腕骨折の患者さんは比較的若い患者さんが手術されております。

産婦人科での手術症例は、主に壁内子宮平滑筋腫や子宮頚部高度異形成に対する子宮全摘術が最多となっております。
悪性腫瘍に対する手術を行った患者さんの平均術後日数は、昨年度より約3日減っております。

令和元年度の白内障に対する手術は、83件となっており年々増加傾向にあります。
当院での白内障に対する手術は、1泊2日の日程で行っており、クリティカルパスを利用した短期入院を行っております。

泌尿器科では、膀胱癌に対する手術が多く、主に内視鏡的手術の一種である経尿道的膀胱腫瘍切除術を行っております。
患者さんの体への負担が少なく、早期退院出来るように心がけております。